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輸入切花専門商社 株式会社クラシック

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CLASSIC スタッフブログ Vol.191

2024.03.25

このコーナーでは、クラシックの社員が自分の仕事を通じて気になったこと、面白かったこと、お客様にお伝えしたいこと…などなどを気ままに発信していきます。

今週のブログはロジスティック本部から木原お届けします!

どうぞお楽しみください!


 

■中国人留学生とジェスチャーゲーム

みなさん、今までに一度位は、「ジェスチャーゲーム」経験された事があるのではないでしょうか。

出されたお題が何なのかを「身振り」「手振り」で解答者に伝えていくあのゲームです。

 

私は昨年の秋、ひょんな事から市内のイベントに参加する事になり、筑波大学中国人留学生の方と組んで、チーム対抗戦に興じました。(チームは、4人一組。留学生3名+日本人1名の混成)。

交流会なので国別対抗ではなくて、協力しあいながら、解答していくのが目的です。

 

テーマは「四字熟語」

 

簡単なのか難しいのかは不明。ただストーリーがある分、キーワードさえ確実につかめれば、推測で正解にたどり着けるはずです。

文化的にも共通する部分はあるのだし、まるっきり歯が立たない事にはならない自信はあったのです。

 

■「一心一意」

ゲーム初っ端から躓きました。

 

一番目の留学生は

 1)人差し指を立てて「1 」を

 2)次に、両手でハートの形を作り胸の前に

 3)その後、また指で1を作り

 4)最後に両掌を上向きにして、胸元から相手にむけて、ゆっくり差し出す動作

 

をしたのです。

 

 

「一」が2つ出てきた。心とかハートも分かった。でも何の四字熟語かさっぱり分からない。

一で思いつくものと言えば、「一挙両得、一攫千金 一刀両断、一言一句、一期一会」

でも、心とかとは結びつかない。

私は2番手なので、たとえ答えがわからなくても、一番目の人の身振り手振りをそっくりそのまま次の人に伝えれば良い楽なポジションなのですが、やはり気持ちが悪い。

ただその四字熟語は、彼らにとってみると、非常に馴染みのあるものらしく、私のおどおどした伝え方でも、3番手の女性は大きく笑顔で頷き、最後の人へとうまく繋げてもらえ、チームとしては正解にいたったのです。日本人の私だけが分からなかったその問題は、

「一心一意」。

意味は心を一つにして一途に思うこと。また、集中して一心に励むこと。

問題を考えてくれたのは日本語堪能な中国人留学生。「一心一意という表現は、日本人であれば知っているに違いない」と彼らが思って出題したのでしょうが、「うーん。私50年以上生きてきて、いままで一度も使った事はおろか、耳にした覚えもないです。ごめんなさい 」と認識のギャップを感じました。

 

■「一心一意」に 遭遇

海外のテレビドラマを見るのが結構好きで、WOWOW契約をしているのですが、ここ最近で心に沁みたのが、邦題:ロングシーズン「長く遠い殺人」(原題:漫長的季節)です。

「中国ドラマ世紀の傑作の呼び声高いヒューマンノワール」との宣伝文に魅かれ見始めたものの、6話位までは正直よく内容が分からず、惰性で見続けていたのですが、後半に入ってから激変。 

最終12話までの緊張度とスピード感、全編に張り巡らされていた伏線が次々とつながって一枚の大きな画となる回収の巧みさに、見終わったあとは、数日その余韻に浸りっぱなしでした。

 

20年前に起きたバラバラ殺人事件に関係した人々の過去と現在を行きつ戻りつしながらドラマは展開していくのですが、「老けメイク」の見事さと俳優陣の演技力は一見の価値はあるとみなさんにおすすめします。

ある出来事をきっかけに、止まっていた歯車が動き出し、「喪失感」と「恩讐」(恩義とうらみ、情けと仇)に向き合いながら、失った何かを必至で取り戻そうと必死であがく姿に、涙腺が緩みました。

その11話、花屋の場面で、この四字熟語 「 一心一意」に遭遇したのです。

 

■『11本の薔薇と2本の百合』

主人公が思いを寄せる女性に贈る花を選んでいる時、「それなら、11本のバラと2本の百合の花束が良いですよ」とアドバイスを受けるのですが

その花束の意味を訊ねる主人公に対する答えが↓

 

字幕をそのまま書くと

「心も1つ 意も1つ 百年 連れ合う」

中国語の台詞だと

「一心一意 百年好合」 

 

 

一心一意から、1をとってきて 11本の薔薇

年好 文頭と文末の百と合で、百合。

 

何故、百合が2本になるかはわかりませんが、「年好」とは、結婚式のお祝の言葉だそうで、二人でこれからの百年(生涯)添い遂げてください(添い遂げましょう)ということで、2本なのだと思います。

 

 

「これって、あのジェスチャーゲームで私が分からなかった一心一意じゃないの」

私の中ではジェスチャーゲームの敗北もこれで見事に回収された事になります。何かとても

嬉しい気持ちになったのです。

馬が9頭で、「馬九行く(うまくゆく)」の様な縁起担ぎ的な言葉遊びの1種とも言えないことは無いのかもしれませんが、たった8つの漢字だけで、

「一途にあなたを思い続けます。これからの人生を添い遂げていきたい」+α

を表現できる漢字の簡潔な表現力の深さと広さ、そして聞いていて恥ずかしくなるほどの台詞を、上滑りさせず、実に滋味深いシーンに仕立てた監督の力量もすごいと思うのです。

同監督の前作「バッド・キッズ 隠秘之罪」も中国で高い評価をうけ、日本では主演岡田将生でリメイクされました。 3/8から上映されています。(映画名:ゴールドボーイ)

 

 

11本のバラと2本の百合の花束」をネット検索すると、香港のオンラインショップで扱いがありました。「大切な人へ思いを伝えるのにぴったりの花束です」との紹介。

ドラマに出てきた様な、「熱い」表現ではありませんが、もしかしたら背景にあるのは同じ

一心一意 百年好合

かもしれません。

 

「あの時の、あの言葉だよね」 とか 「あれって、もしかして、こういう事だったの? 」 みたいに、何かが何かに繋がっていく体験が、これからも続いていくと良いな〜と。

そして、それに気付けるだけの心の余裕を持ち続けたいとも思っています。

 


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